テクノロジー
表面亀裂検査
渦電流方式を利用した非破壊検査
製造物責任のリスクはもとより、最近、品質に向けられる関心が厳しくなり、部品の全数検査の必要性が一層高まっています。DIN EN ISO 15549に準拠した渦電流方式は、非破壊・非接触の材料検査方法です。亀裂、オーバーロール、細孔、空洞などの表面欠陥を検出し、迅速・確実・経済的に機能します。差動測定コイルを使用して磁場を発生させ、材料に高周波の渦電流を誘導します。受信信号は、励磁信号に関する振幅と位相シフトに対して評価され、材料の微細欠陥も検出します。
材料の亀裂検査
亀裂を検出するには、試験片を機械的に回転させ固定プローブでスキャンするか、固定した試験片を回転プローブでスキャンします。材料に損傷がない限り、電気抵抗は均質であるため渦電流の流れは一定です。しかしどこかに亀裂があると、その部分の渦電流密度は損傷が無い部分の密度と異なる表示になります。この相違は記録され、エラー信号として表示されます。
STATOGRAPH® による検査
材料亀裂を渦電流検査で調べるには、試験タスクに適合した適切な評価用電子機器とプローブが必要です。検査の状況と対象に応じて、STATOGRAPHシリーズから目的に適したシステムをご提供します。
特殊用途向けに、多くの標準プローブおよび検査対象の形状に適合したプローブを提供しています。検査する部品の形状、サイクル時間、エラー仕様によってプローブを選択します。
材料および微細構造の検査
磁気誘導方式
磁気誘導方式は渦電流にも有効です。渦電流の周波数範囲が広く、さまざまな検査目的に利用できるためです。高周波検査では材料の亀裂を検出し、低周波磁気誘導検査では、浸透深度が大きくなるため検査サンプルの焼き戻しに関する情報が得られます。
材料検査や微細構造検査は、異材混入の防止や焼き戻しの品質測定に利用できます。典型的な分類基準には、合金含有量、表面硬度、硬化深さ、強度、微細構造などがあります。
材料特性の検査
材料特性の検査では通常、試験片を貫通検査コイルに通して低周波の渦電流を材料に誘導します。センサーによって記録された検査電圧は試験片の磁気的および電気的特性の結果であり、測定ポイントの電圧値はグラフィカルに表示されます。
さまざまな硬化状態、合金成分、または微細構造条件が受信電流に影響を与えるため、試験片の材料特性について結論を導き出すことができます。
MAGNATEST®シリーズ
MAGNATESTシリーズは、応用領域と試験片に応じて、金属部品の微細構造と材料の磁気誘導検査に適したシステムを提供しています。製品ポートフォリオは多様なコイルとプローブを幅広く含みます。
使用される商品
(1) MULTIPLEXER MAGNATEST® D (2) MAGNATEST® D (3) MAGNATEST® ECM
(4) MAGNATEST® ECM CE (5) 貫通コイル (6) プローブ
J(H) ヒステリシス
開磁路方式は、工業条件下で軟磁性材料の直流磁気ヒステリシス合計を測定する迅速な方法を提供します。正確なJコイルを使用して、電磁アクチュエーター(コモンレール燃料噴射など)の原材料の主要パラメーターが調べられます。H-センサーは、完成部品の保磁力HcJを正確に測定します。
J(H)ヒステリシスの合計は、アクチュエーターの動作中に結果として生じる部品のエネルギー損失(再磁化損失)を表します。保磁力HcJも重要な指標です。比透磁率 µr (初期曲線の勾配) は、磁気回路内にある被検査部品の動的挙動の特徴を表します。
比透磁率µrが高いほど、電磁システムで検査中の部品をより速く磁化できるので、システムのダイナミクス向上に貢献します。
このような磁気パラメーターは、アクチュエーター部品の製造中に、機械加工・プレス加工・成形などの冷間成形プロセスおよび熱処理(最終焼き鈍し)によって大幅に変更できます。これらの磁気特性の一部は部品に保持させる必要があり、J(H)、μr、およびHcJの値を監視するには測定システムKOERZIMATが適しています。